ウイルス様粒子(VLP)は、20〜800ナノメートルのサイズで、ウイルスタンパク質の自己集合体複合体です。VLPは天然のウイルスの遺伝物質を模倣し、したがって非感染性で安全です。VLPは宿主免疫系に容易に認識されるため、抗原伝達の理想的なキャリアです。
RTS,S/AS01 (モスキウィックス) は、前赤血球型マラリアの治療に承認されたVLPベクターワクチンです。モスキウィックスには、P. falciparum被膜タンパク質の主要な断片である周囲スポロゾイトタンパク質(CSP)の成分が含まれており、これがHBsAg VLP(B型肝炎表面抗原)キャリアと融合しています。
HBsAg VLPに加えて、その他のウイルス/ファージ由来のVLPが現在調査されています。例としては、ヒトパピローマウイルス(HPV)L1 VLP、戊型肝炎ウイルス(HEV)ORF2 VLP、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)Pr55(Gag)VLP、キュウリモザイクウイルス(CuMV)VLP、バクテリオファージQβベースのVLP、バクテリオファージAP205-VLPなどがあります。
VLPを用いたワクチンは、感染症に対する古典的な予防ワクチンだけでなく、がん、炎症、アレルギー、神経変性疾患、高血圧などに対する治療ワクチンとしても開発されています。ワクチン開発で一般的に使用されるVLPの例を以下に示します:
VLPバックボーン |
VLP構造 |
派生 |
HBV-VLP
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HBsAg、HBcAgまたはS1、S2抗原
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乙型肝炎ウイルス (HBV) |
HPV-VLP
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HPVカプシドL1抗原、またはHPVカプシドL1/L2タンパク質
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ヒトパピローマウイルス (HPV) |
HEV-VLP
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HEV ORF2
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戊型肝炎ウイルス (HEV) |
Qβ-ウイルス様粒子
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Qβカプシドタンパク質
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バクテリオファージ Qβ |
AP205-ウイルス様粒子
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AP205カプシドタンパク質
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バクテリオファージ AP205 |
MS2-ウイルス様粒子
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MS2カプシドタンパク質
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バクテリオファージ MS2 |
PP7-VLP
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PP7コートタンパク質
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バクテリオファージPP7 |
CuMV-VLP
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CuMVカプシドタンパク質
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キュウリモザイクウイルス様顆粒 (CuMV) |
CCMV-VLP
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CCMVカプシドタンパク質
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アズキマメ黄化斑点ウイルス (CCMV) |
RHDS-VLP
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RHDSカプシドタンパク質VP1/VP60
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ウサギ出血症ウイルス (RHDS) |
CPV-VLP
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CPVカプシドタンパク質VP2
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犬パルボウイルス (CPV) |